「この猫達の不妊手術（一部の場合もあります）は公益財団法人どうぶつ基金のＴＮＲ助成金（オス３０００円メス５０００円）にて行っています。」

うさ吉隊長の車のあとを追って、動物病院に着くと
駐車場は満車。そして、ちょうど、キャリーバックを持った女性２人と
うさ吉さんが話しているのが見えた。

またもや、車を路肩に違法駐車して、その場に行くと
病院の診察結果の説明をうさ吉さんが聞いていて
薬を確認しているところだった。
テンゼロのチラシを渡し、落ち着いてやっと話ができた。

子ねこは、チョコレート色の女の子。
毛の先が黒っぽいけれど、下のほうはシルバー色。
確かに、毛が妙に剃られている。
しかし、それはハゲやカイセンなどの皮膚炎ではなく
ただ、人の手で剃られているだけだった。
身体にはキズがないというのだ。

チョコレート色の子ねこは、人懐こく、キャリーから出されても
じっと抱っこされているような性格。
それでいろいろ確認し、うさ吉さんが引き継ぐことになった。

女性２人によって、その仔には、「チョコ」という仮の名前がついた。
チョコレート色で、痩せている子ねこが、昨年もうさ吉さんの家で
看護されて里子になり、元気になっている・・・のを思い出していた。

その日の１８時過ぎ、一晩預かりをした女性から電話があった。
やはり、憤慨していて、「もう、子ねこのことはいいです」と
のっけから言ってくるから、もう一度ことの経緯を説明した。

なぜ、クリーニング店の前に置いたのか?　と聞くと
「その人もねこにエサをあげているから」という理由。
自分も同じエサヤリなのに、どういう発想なのか、クラクラしたが
どうやら、ちょっとしたご近所トラブルがありそうな気配がする。

その人も、１匹だけは、不妊手術をしたことがあり
今後の TNR について説明すると、費用負担を理解してくれた。
私たちがお世話になっている動物病院のことは知らなくて
その手術費用の安さに驚きつつ、同意してくれた。

彼女がエサを与えて把握しているねこは４匹
他にもエサヤリがいるから、実際にはもっとねこは多い。

そして、その人は、「それから、他に生まれた子ねこはどうします?」と
聞いてきたから、「はい??　子ねこが生まれているのですか」と聞き返した。
「ええ、ベランダで産んだんです。驚きました、あんなところで」

断ボールに入っていた、白黒ハチワレは、子ねこを産んだばかりで
あの箱の中には、乳飲み子が４匹いる　というのだ。

卒倒しそうになった・・・・。家にはいれられないと言うし。
あの段ボールじゃ、ちびには寒すぎる・・・。

とにかく、段ボールを二つ使って屋根をつくるか
できれば、発泡スチロールでハウスを作ってほしいと頼み
４匹のちびのことは、保護を引き継げるかどうか電話することにした。

気を落ち着かせてから電話しようと思って、
「頭がクラクラすることがあるから、夜に電話する」と、うさ吉さんにメールしておいた。

２０時半ごろ電話すると
「はい、何ですか」とうさ吉隊長の声。(駐禁ショックから立ち直ってる)

「あのベランダの段ボールには、４匹も生まれてた」と話すと
「なんだ、そんなこと。あの多頭夫婦が夜逃げしたかと思った」と
朗らかに答えたのだった。
「えーー、あたしは、頭がクラクラしたよ」

「バルがトライアルに行って、今日のチョコを２週間隔離したら
　４匹のチビを引き受けられる」と、冷静に答えてくれた。

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子ねこシーズン到来の前だから、このちびたちが元気に成長すれば
里親さんを見つけることはできるだろう。

それから、クリーニング店の旦那さんからも電話があって
「子ねこ用にミルクを買ってきちゃいました。
　時間があるときに寄ってください。差し上げます」

チョコはもう、ウエットもカリカリも食べる。
４匹の乳飲み子用に、遠慮なくいただくことにした。

多頭飼い夫婦の件は、まだ収拾がつかない。
見通しもたたず、そもそも信用もできない。
突然舞い込んできた、子ねこ騒動は、しかし、そのエリアの光明を示してくれた。

次回 「ねこ会」 のお知らせ

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