命に違いがあるのではなく、視野が異なる2016/12/20 21:31

猫の殺処分・TNR 頭数 推移

私たちは、月に 1度の月例譲渡会を開催しています。

ネコ・猫・ねこの里親譲渡会

↑ の、いつさと 「里親会情報」 にも書いているとおり、
私たちの譲渡会開催の目的は大きく2つあります。
「命のリレー」 と 「啓発」

それを、「減らす」 「繋ぐ」 「育む」 という具体的な方法で目指しています。



「命のリレー」と は、文字どおり、保護した猫 (子猫には限らない) を
里親さんが見つかるまで世話をし、新たな飼い主に繋いでいくこと。
メンバーは、限られた自分の時間のなかで、TNR は忙しいし、
リターンした猫の見守りは休めないし、保護猫の世話もあるし、
自分のことは後回しにしながらの毎日。

メンバーは、車で餌やりをしながら餌場を回るようなことはしていない。
皆、自分の家の周辺で、リターン猫を見守り、給餌に通っている。

名古屋市の猫の殺処分数は減ってきている。
それは、H23年からはっきりと分かる数値に現れている。
どれほど、福祉局や愛護センター、保健所に説明してきたか。
なのに、名古屋市動物行政は、この猫の殺処分大幅減少の
最大の要因が TNR であることを認めない。

愛知県は長年、猫の殺処分数のワースト1だった。
でも、平成20年度から27年度までの、猫の殺処分数削減高を比べれば
おそらく、全国で 5指に入るはず。

名古屋市の猫の殺処分数は、急激に減少したあと、H25年以降はほぼ横ばい状況。
今後も、殺処分数が増える年度もあることを想定して、考える必要がある。

このところの横ばい状況をさらに、減少させるには、TNR のいっそうの拡散しかない。
しかも、それを目指さなければ、名古屋市の猫の殺処分数は、もうこれ以上、減らないような気さえする。
それでは、殺処分ゼロを意を決して目指してきた人たちの努力は報われない。

TNR は、地域猫活動ではない。地域猫活動とは、その先にあって、目指すもの。
でも、人間関係がゆがむほどのトラブルが生じていないエリアであれば、
TNR で猫の繁殖を抑え、その後の見守りを続ければよいのであり
なにも、「目指しましょう。地域猫活動」 と唱えなくてもいいと思っている。

愛護センター あれこれ -- 2 で、
「愛護センターは、譲渡ボランティアに、犬や猫の里親探しを依頼しているのだから、せめて、合同譲渡会くらい開いて、譲渡に協力するべきでは?」
と、センター長に要望したとき、後日却下されたが、その理由の中には
「譲渡ボランティア自身から、そういう要望はでていない」 というものがあった。

名古屋市ホームページ公開の PDF 資料より

H25年度 犬の譲渡数 103匹 / 猫の譲渡数 320匹
 譲渡ボランティア登録数  --- 団体 28 個人 5
  犬譲渡頭数  44匹/103匹 --- 約 42.7% をボランティアが担う
  猫譲渡頭数 156匹/320匹 --- 約 48.7% をボランティアが担う
H26年度 犬の譲渡数 132匹 / 猫の譲渡数 416匹
 譲渡ボランティア登録数  ---  団体 31 個人 6
  犬譲渡頭数  53匹/132匹 --- 約 40.1% をボランティアが担う
  猫譲渡頭数 159匹/416匹 --- 約 38.2% をボランティアが担う
H27年度の資料は、健康福祉局の担当者にメールで催促しているが
いっこうに公開されていない。

名古屋愛護センターから譲渡された猫 416匹のうち、譲渡ボランティアが
担っている頭数は 約40 %
しかし、里子猫になれず、譲渡ボランティアの家で保護を継続されている猫の
頭数はけっして、明らかにはされていない。これは秘密らしい。

私たちの譲渡会では、譲渡ボランティアの保護猫の参加を断っている。
里親探しをしている猫の重要度に違いなどありはしない。
早く保護猫から卒業させたいという気持ちは、保護主であれば同じ。

では、なぜ、断るのか? 今後も、受け入れることはない。

私たちの譲渡会では、一般参加の人も受け入れている。
ただし、参加希望のメールに対し、その猫を保護した経緯を必ず確認する。
初参加の希望者にたいしては、多少甘く確認する。
でも、2回目以降の参加希望については、初回のときに、TNR の必要性を
説明したにも関わらず、なぜ、同じ場所、同じ町内で、また子猫を
保護しているのか を、メールで質問する。

譲渡会参加のやりとりは、必ず、メール。
電話で聞くこともあるが、その場合はたいてい、断っている。
なぜなら、電話は、圧倒的に、保護依頼、譲渡丸投げが多いからだ。

2016年は、いつもの開催場所であるコープ本山が、耐震工事だというからしばらく譲渡会を休んでいた。

9月に再開したから、まだ3回くらいしか開催していないのだけれど、 この間にも、何人もの一般参加希望の方からメールがきていた。
そして、ほぼ全員の人たちの参加を受け入れることにしたけれど
なぜか、一般参加の7割くらいの人たちが、譲渡会の前に
保護猫の里親さんを見つけだしていて、それを知らせてくれて
参加しないですんだ というケースが増えている。

その人たちからのメールでとても印象に残っていることは
「そちらの譲渡会に参加できる という安心感から、自信をもって
 保護猫の希望者とやりとりできて、譲渡を決めることができました」

来月には譲渡会に参加できるから、あせって、人に頼み込んで
里親さんになってもらわなくてすむ・・・と、思えるらしい。
これは、いいことだと実感している。
里親詐欺にひっかかることを防ぐためにも、譲渡会に参加することは
重要と思っているし、譲渡会にくるほどの腹黒い里親詐欺や業者はいないだろうから。
(なんせ、名古屋愛護センターですら、譲渡詐欺にひっかかっている)

そして、そういう、「里子になれました。譲渡会への参加をキャンセルします」
というメールをくれた人たちからは、2度目の参加希望メールはきたことがない。

TNR をするなら、捕獲のやり方から捕獲器の貸し出し、病院の手配まで
サポートすることをメールで説明して、私たちはいわば、手ぐすね引いて
その猫が保護された場所で、2度めがないように・・・と対応している。

その参加希望者が TNR する猫が、1匹だけであっても、その猫から
生まれていくはずだった繁殖を防ぐことができる。

TNR を拡散するには、地道な啓発とサポートしかない。
(サポートは初回のみ。よほど下手であれば、2回めもあり)



譲渡ボランティアは、愛護センターから、子猫を預かるとき、
その子猫が持ち込まれた経緯や場所を確認しているのだろうか?
愛護センターは、それを説明しているのだろうか?

それがもし、その譲渡ボランティアの自宅に近いところだったら?
または、どれほど悲惨な環境におかれた子猫であったのか、
確認しようとは思わないのだろうか?

ここが、譲渡ボランティアというシステムの矛盾の一つだと考える。

持ち込まれた子猫だけを救えれば、それでいいのだろうか?

その子猫が発見された場所はどのような状況なのか?
その母猫や数匹の成猫を TNR することで、そのエリアの繁殖を抑えられるかもしれない・・とは考えないのだろうか?

ここが、猫の殺処分を減らしているために不可欠な、視野や想像力の問題になっていく。

愛護センターに持ち込まれる猫を減らさない限り、殺処分数の大幅な減少は見込めない。

これが 「減らす」 という手立て



次に 「繋ぐ」 という手立て

譲渡ボランティアはなぜ、子猫の多いシーズンだけ、しかも子猫だけを
引き受けることで、「命」 を繋げている と言い切れるのだろうか?

なぜ、1年中、続けないのか?
なぜ、飼い主が持ち込んだ、人なれした成猫を引き出してあげないのか?
犬の場合は引き出されているのに・・・。

命に違いはないでしょう・・と言いながら、譲渡ボランティア自身が
引き出すときに、または、愛護センターで受け取るときに選択をしている。

これが、名古屋市の譲渡ボランティアシステムの大きな矛盾の二つめ

この矛盾を説明できるような、名古屋の動物行政の職員はいない。
努力しているという動物行政の職員の顔を見てみたい。
「行政は中立ですから」 という言い訳で、現実に猫が生きている場所に
向き合わない、保健所職員が多すぎる。
(この案件は、また後日、記録します)



飼い主のいない猫の命には、違いはない。
保護猫の譲渡の重要度に違いはない。
でも、名古屋市の動物行政を変えていくことは、おそらく、譲渡ボランティアシステムではできない。



「育む」 という手立て

これが、もっとも難しい段階。
「育む」 必要のあるエリアにこそ、地域猫活動が必要となり、
それ以外に、対応策があるとは思えない。

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